2000年11月に発覚した『旧石器捏造事件』
こんなつぶやきを見つけました。
ゴッドハンドとかいう日本の考古学を木端微塵に吹き飛ばした終身名誉永久戦犯
— なんJ日本史部 (@nanJ_historyJ) December 22, 2020
しかも捏造用に埋めた石器が未だ東日本中に散らばっている上に本人は記憶喪失で何も覚えていない模様
「ゴッドハンド」って何?ということで調べてみると、日本の元考古学研究者、特定非営利活動法人『東北旧石器文化研究所』元副理事長であった藤村 新一氏のあだ名らしいです。
ゴッドハンド(神の手)という大袈裟な呼び名から、さぞかし凄い偉業を成し遂げた人だと想像できますが、2000年11月5日に毎日新聞が『旧石器捏造事件』として取り上げることで事態が一変。
それまでの藤村氏は、
●日本の旧石器時代史の争点であった前期・中期旧石器時代の遺跡を発見
●1992年には民間の東北旧石器文化研究所設立に参加し、同年9月には在野の考古学研究者を対象にした相沢忠洋賞(第1回)を受賞
●1995年には東北旧石器文化研究所も同賞(第4回)を受賞
●秩父原人の遺構を発見した功績(後に捏造と発覚)により、埼玉県知事より表彰
●1999年に会社を退職し、同研究所職員となる
●同研究所は2000年8月に特定非営利活動法人として認証され、副理事長に任命
ーwikipediaより
など輝かしい功績を残し続け、「旧石器時代の上限を十万年単位で遡らせる」とされた発見・研究報告を次々に挙げたことからゴッドハンドと呼ばれ、考古学の権威として一目置かれていました。
では『旧石器捏造事件』で何が起きたかというと、その名の通り「発掘を捏造」していたことが世間に露見したのです。
石器を事前に埋めている姿を毎日新聞にスクープされ、この事件は海外にも報道されるなど当時は大きな話題になりました。
この事件を契機に、中学校・高等学校の歴史教科書は見直され、大学入試にも影響を及ぼすほど深刻な事態となり、教育業界の慌ただしさが現在にも伝わってきます。
もちろん、藤村氏が発掘に関わった上高森遺跡をはじめ、座散乱木遺跡・馬場壇A遺跡・高森遺跡など、多くの遺跡が旧石器時代の史跡認定を取り消し。
責任を問われた藤村氏は、後に解離性同一性障害を発症したため「捏造した記憶」が不明確となり、事件の真相は未だ闇の部分を多く残しています。
事件発覚後に世間から猛バッシングが起こったことは容易に想像できるので、藤村氏も極度のストレスから精神病を患ったのだと思います。
上記のつぶやきに書かれているように、「捏造用に埋めた石器が未だ東日本中に散らばっている上に本人は記憶喪失で何も覚えていない」という内容は由々しき事態でもあり、今後発掘を続けても「藤村氏が埋めたものではないか?」と疑う必要があります。
いずれにせよ、この事件により日本の考古学が大きく後退したことは間違いなさそうです。